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生誕祭記念講演

「故郷に建つ美術館の20年」
講師 酒井忠康氏


有島が木田をふるさと岩内にとどめた真意?

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私は木田の絵が好きだし、誕生日が奇しくも同じことを知り急に親近感もわく。
有島家との付き合いも古く生馬のお嬢さんとも親交がある。
窪島誠一郎とは同年で親友、木田と交流があった小谷博貞、針生一郎も知り合いだ。そんな関わりの中に木田がいる。
とにかく第一印象として町の人たちのコレクション展は実にうらやましい。
日本中でこんな企画が実現できるなんてここだけだ。素晴らしい。
人口一万五千足らずで開館20年を迎える、これは神業だ。
木田の絵の魅力は何か。

小樽市立美術館に版画の一原有徳の作品やアトリエが再現保存されている。
彼は60過ぎてデビュー、東京に出てさらに名を挙げようとした。だが周囲の人にただ潰されるだけだから地元で頑張れと説得され小樽に残り才能を伸ばした。

木田も上京の野望を抱いたが有島に「この地にとどまって画業に専念することを勧める」と諭され、以後岩内を離れることなくふるさとの自然を描き続けた。
有島はなぜ若き木田にそのような助言をしたのか。
それは木田の画業全体の根っこの部分に内的必然があったからだ。つまり自分に納得できるもの。画家にとって最も重要なものだ。
木田の大火前、大火後の作品、どちらも素晴らしいがそれはない内的必然があるからで本質的には何も変わっていない。
有島はそれを見抜いた。直感的に分かった。
木田の絵はいわゆる上手とは言えないが単に写す絵ではない。目をつぶっても描ける人。「雑木林の馬」の絵、世界的な絵だと思う。今よりもっと高い評価をされていい。

アイルランドにノーベル文学賞受賞したイエーツの弟の絵、世界的に知られているが、これもアイルランドの自然や悲しみを描き内的必然があり木田によく似ている。
 
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この後、スライドを見ながら美術館との長い関わりからの体験や考察をユーモアを交えながら興味深く話した。
図書の紹介、芸術家と時の権力との関係、贋作と真作、高橋由一の「鮭」、イサム・ノグチとモエレ沼公園等話題広範ながら硬軟ないまぜた語りが時折笑いを誘い飽きさせない。

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最後に、
「木田はこの町と深い関わりを持っている。木田への興味や関心をもっと広げていこう」と締めくくった。

講師の酒井さんは現在世田谷美術館館長。
1941年余市町出身、慶応大学卒後に神奈川県立近代美術館に勤務し、後年同館館長となる。
美術界の要職を歴任、また美術関連の書籍多数刊行している。
(O・Y)
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