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伊藤正展を観て

先日、市立小樽美術館へ、中村善策記念ホール開設20周年記念特別展「写実の求道者 伊藤正 展」を観に行きました。

20080912_otaru


市立小樽美術館で常設展示されており、記念ホールも設立されている、中村善策と、生前交流のあった伊藤正の展覧会でした。

木田金次郎美術館でも「木田金次郎と1950年代」展の作家の一人として、伊藤正の「サイロ・牧舎」が展示されています。
同時期に観ることによって、北海道の美術の展開をもう少し深く考えてみたいな、と思ったからでした。

両者とも風景画が主な作品であり、モチーフとしては同じ北海道の景観を描いています。
北大農場を題材にした作品では、全く同じ場所を描いているのですが、一つの展覧会でこのように並べて展示されていると、作家により作風が随分異なっていることに、今更ながら驚きました。

中村善策の北海道の風景は、小樽・石狩平野を描いても、明るい絵具のトーンと、印象的な構図から、爽やかな北海道、というイメージが感じとれますが、どちらかというと、伊藤正の色調の方が、なじみがあるような気がしました。

今ではもう気配の薄れている、私が生まれる前の札幌の風景が、旧北海道新聞社を描いた「赤い建物」や、「北一条教会」に残されていました。
松島正幸など、他の画家が同じ建物を描いた感覚とは違う、当時の札幌の空気が伝わって来ました。
私はもちろんこの目で見たことはありませんが、きっと昔の札幌はこうだったんだろうな…こういう気配が残されていてよかったな、としみじみ思いました。

正確なデッサンに基づいた写実的で丁寧な画風は、カタログ表紙にもなっている、ノートルダムを描いた作品に現れています。
毎日早朝から足繁く通ってデッサンし、建築の微妙な傾きまで描き出していることに、思わず感嘆しました。

しかし、生涯、写実的な画風でありながら、その時代によって、心理状況が反映され変遷しているのも、興味深く、画家として凄いことだなと思います。

木田金次郎と同じように、北海道の風景を描いた、北海道の画家ですが、こうやって画業の全般を通じて観覧する機会がほとんどないのが残念です。このような、北海道を描いた画家の作品を、もっといつでも観られる環境・施設があればいいなあと、切に願いました。
見逃すのは実にもったいないし、見逃したら後で悔しい思いをしたことであろう、行って良かった、と久々に思えた、見応えのある展覧会でした。
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