石川県加賀市「中谷宇吉郎雪の科学館」を尋ねて

柴山潟を右手に見て変形の十字路を渡った。

夏の日差しが眩しいその先に
「中谷宇吉郎 雪の科学館」はあった。
http://www.kagashi-ss.co.jp/yuki-mus/

2012年11月より2013年3月まで木田金次郎美術館で企画展
「没後50年木田金次郎と中谷宇吉郎」展が開催された。
北大教授で雪の結晶を研究し、雪氷学の基礎を築いた中谷宇吉郎は1900年生れで1962年4月61歳で亡くなった。
中谷より7歳年長の木田金次郎もこの年の12月68歳で黄泉の地に旅立った。

二人は1960年中外書房より、木田は全道各地の風景を絵と文章で綴り、中谷は北海道と雪の関係について写真や図版に文を託して両名の著作による随筆集「北海道」を刊行している。
木田金次郎は画家としての力量は勿論の事、文章表現にも秀でていた事は1994年に北海道新聞社から出版された「生れ出づる悩みと私」を一読すると明らかである。
若い頃より画業に精進すると共に、俳句や詩にも取り組む文学青年の一面を持っていたと伝えられている。
中谷宇吉郎は東大理学部に学び、卒業後理化学研究所に勤務したが、この間物理学者で漱石門下の文化人として知られる寺田寅彦と師弟関係にあり、学問上のみならず文筆活動においても指導と影響を大いに受けた。
寺田寅彦門下生として中谷も数多くの随筆、紀行文、社会評論などを発表したが、その主要な作品は「中谷宇吉郎随筆選集」三巻に収められ1966年朝日新聞社から出版されている。

私が今夏訪れた「中谷宇吉郎雪の科学館」は石川県加賀市片山津温泉の柴山潟湖畔にあるが、この地は中谷の故郷でもある。
又、近くの北陸本線動橋駅そばには、台座に雪の結晶が刻まれた墓所があった。
科学館は「ロサンゼルス現代美術館」を手掛けた建築家磯崎新の設計により、雪をイメージした六角塔が三つ配置されたモダンな作りであった。
入口と受付は橋を渡った二階にあり、この階の映像ホールでは「科学するこころ―中谷宇吉郎の世界」が上映されていた。
一階の展示室は五つのゾーンに分れ
〝宇吉郎のひととなり〟
〝雪の結晶〟
〝氷の結晶〟
〝グリーンランド・ハワイ〟
〝世界の中の宇吉郎〟の各ゾーンが時計の針と逆回りに配置されていた。
中央部分には人工雪やダイヤモンドダスト発生等の実験ができる常時低温研究室が設けられていた。

世に知られた中谷の南画「雪華の図」は、
墨色や線にこだわり描かれた雪の結晶に
「雪は天から送られた手紙である」の賛がはいり、
〝宇吉郎の人となり〟ゾーンに飾られていた。

私は展示室を一巡後、物理学者として高い評価を得ていた専門分野の研究以外にも文筆、絵画、映像など多方面で活躍し、自然科学的思考方法の普及活動に努めるなどした中谷宇吉郎の多芸多才の人柄と才能を再確認させられ、科学館を後にした。(M・T)
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