どんざ丸
北海道岩内町・木田金次郎美術館のスタッフブログです。
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「第17回木田金次郎生誕祭」開催される!!
7月15・16日の両日に亘り、生誕祭の記念行事が行われました。
7月15日(金)には、チェロ竹本利郎氏、チェンバロ明楽みゆき氏による『ミュージアムコンサート』が第二展示室を会場に開演されました。
折から開催中の「北海道銀行コレクション展」の作品に囲まれた展示室に、芸術の香り高く、チェロとチェンバロのアンサンブルの調べが流れました。明楽みゆきさんから演奏する楽曲の時代背景やエピソードなどのお話があり、ハープからリュートそしてチェンバロと楽器の進化についての解説などもあって、音楽の歴史を学ぶ楽しいコンサートになりました。

プログラムが進み、A・ヴィヴァルディのチェロ協奏曲ハ短調第一楽章から第三楽章までを、竹本利郎氏が年代物のイタリア製チェロで奏でる重厚な響きで演奏しフィナーレとなりました。最後に美術館女子職員から両氏に花束の贈呈があり、聴衆のアンコールの拍手に答えた、山田耕筰作曲の「この道」が演奏されコンサートは好評裡に終了しました。
翌16日(土)には、土方明司氏(平塚市美術館館長代理)を講師に迎え「日本近代美術を彩る作家たち」と題した記念講演会が行われました。
講師は、現在木田美術館で開催中の「北海道銀行コレクション展」出品絵画作品39点の中から11名の作家を取り上げ、美術史的観点から日本における近代西洋絵画の軌跡について講演しました。明治・大正・昭和と移り行く時代の中で、文展・帝展など保守本流の官展作家と、二科・独立など反保守在野の作家との表現方法や画風の違いなどを説明しました。

個々の作家については、スライドを使用しながら、数少ないモノトーンを描けるカラーリストとして野口彌太郎を、デフォルメで洋画を自分のものにした林武、浮世絵の輪郭線技法を取り入れ日本人の油彩画を手にした児島善三郎、日本の四季の移ろいを写し取った刑部人、リアリズム無視でデッサンをせず色彩のみで表現しようとした菅野恵介、能の影響を色濃く受けた前衛作家須田寿、抽象と装飾性を持った幻想的作品を描く岩船修三、伸びやかで透明感があり水平線の広がりが素晴らしい中村善策、抽象的な画面構成でモダンな感じの現代的作品の岩橋英遠、銅版画技法メゾチントを復活し、サンパウロビエンナーレで注目を集めた浜口陽三、浜口の妻でメルヘンチックな作品が若い女性に人気の南桂子などの画業を説明し、乾燥した大地に光と陰がはっきりした欧州の地で生まれた油彩画が、湿潤で不透明な空気を持つ我が国にどのように根付いて行ったか。日本の近代美術の歩みは、個性的で日本の風土に合った日本的油彩作品を、いかに完成させるかを目指した歴史であったと解説しました。木田金次郎の作品については「カラーリストであったが、晩年は破調を恐れず線描を用いて何か新しい表現を作り出そうとしていた。東洋的リアリズムを目指していたのでは?」と語り、講演会を終了しました。
(M・T)
7月15日(金)には、チェロ竹本利郎氏、チェンバロ明楽みゆき氏による『ミュージアムコンサート』が第二展示室を会場に開演されました。
折から開催中の「北海道銀行コレクション展」の作品に囲まれた展示室に、芸術の香り高く、チェロとチェンバロのアンサンブルの調べが流れました。明楽みゆきさんから演奏する楽曲の時代背景やエピソードなどのお話があり、ハープからリュートそしてチェンバロと楽器の進化についての解説などもあって、音楽の歴史を学ぶ楽しいコンサートになりました。

プログラムが進み、A・ヴィヴァルディのチェロ協奏曲ハ短調第一楽章から第三楽章までを、竹本利郎氏が年代物のイタリア製チェロで奏でる重厚な響きで演奏しフィナーレとなりました。最後に美術館女子職員から両氏に花束の贈呈があり、聴衆のアンコールの拍手に答えた、山田耕筰作曲の「この道」が演奏されコンサートは好評裡に終了しました。
翌16日(土)には、土方明司氏(平塚市美術館館長代理)を講師に迎え「日本近代美術を彩る作家たち」と題した記念講演会が行われました。
講師は、現在木田美術館で開催中の「北海道銀行コレクション展」出品絵画作品39点の中から11名の作家を取り上げ、美術史的観点から日本における近代西洋絵画の軌跡について講演しました。明治・大正・昭和と移り行く時代の中で、文展・帝展など保守本流の官展作家と、二科・独立など反保守在野の作家との表現方法や画風の違いなどを説明しました。

個々の作家については、スライドを使用しながら、数少ないモノトーンを描けるカラーリストとして野口彌太郎を、デフォルメで洋画を自分のものにした林武、浮世絵の輪郭線技法を取り入れ日本人の油彩画を手にした児島善三郎、日本の四季の移ろいを写し取った刑部人、リアリズム無視でデッサンをせず色彩のみで表現しようとした菅野恵介、能の影響を色濃く受けた前衛作家須田寿、抽象と装飾性を持った幻想的作品を描く岩船修三、伸びやかで透明感があり水平線の広がりが素晴らしい中村善策、抽象的な画面構成でモダンな感じの現代的作品の岩橋英遠、銅版画技法メゾチントを復活し、サンパウロビエンナーレで注目を集めた浜口陽三、浜口の妻でメルヘンチックな作品が若い女性に人気の南桂子などの画業を説明し、乾燥した大地に光と陰がはっきりした欧州の地で生まれた油彩画が、湿潤で不透明な空気を持つ我が国にどのように根付いて行ったか。日本の近代美術の歩みは、個性的で日本の風土に合った日本的油彩作品を、いかに完成させるかを目指した歴史であったと解説しました。木田金次郎の作品については「カラーリストであったが、晩年は破調を恐れず線描を用いて何か新しい表現を作り出そうとしていた。東洋的リアリズムを目指していたのでは?」と語り、講演会を終了しました。
(M・T)
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