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木田金次郎の本棚(10)  『北海道美術史』

木田金次郎の本棚
konda
今田敬一『北海道美術史』

これは北海道の美術の流れを記した、最初の本と言ってよいでしょう。
著者の今田敬一(こんだ・けいいち:1896~1981)は、北大農学部教授であり、
道展(北海道美術協会)会員の画家。

道展の草創期から関わりをもち、自身が収集した膨大な資料から、
本書が生まれたのでした。

本文438ページという大著の冒頭は、「黒百合会と有島武郎」。
今田自身も北大の美術サークル・黒百合会の出身ですが、
北海道美術の源流を、有島武郎が深く携わった黒百合会としている点が、
非常にユニークです。
北海道においては、有島武郎は美術の側面からも語られる人物なのです。

豊富な文献を引用しながら記述される本文に、木田金次郎も登場します。
それは第3章第5節。
前節の「昭和の初め風土に目ざめる」で「岩内派の形成」に触れ、
次の1節を「木田金次郎」に充てているのは、本書では異色の取り上げ方。
編年体でも地域別でもない登場なのです。

今から眺めると、それだけ北海道美術史の中で、
木田の位置づけが特殊で難しい、
ということだったのかもしれません。

本書の発行は、北海道立三岸好太郎美術館の前身である、北海道立美術館。
北海道の美術館活動の黎明期、
その設立当初から、このような出版活動を行っていたことは、
現在でも大きな価値といえましょう。

副題の「地域文化の積みあげ」は、
地方にいると身にしみる言葉です。

本書は今でも資料として参照され続けていますが、
書店での市販本ではないため、古書店でも見つけるのは大変なよう。

たまたま学芸員の手許にあったものを、
今年5月の「美術館講座2009」第1回、
「木田金次郎と北海道美術史」でご紹介しました。

この本から25年後、
あらためて北海道の美術史をまとめたのが、
あす10月10日に小川原脩記念美術館で講演をする、
吉田豪介さん(美術評論家・前市立小樽美術館館長)。

という訳で、次回をお楽しみに。

(学芸員 岡部 卓)

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 『北海道美術史 地域文化の積みあげ』 
 今田敬一編著 北海道立美術館
 1970年3月発行

 この本は、当館展示室4で開催する「木田金次郎の本棚」
 [会期:12月19日(土)~2010年1月17日(日)]でご紹介する予定です。


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