若洲一滴文庫を訪ねて その1

車は丹波の低い山並みを縫うように続く舞鶴若狭自動道を一路北に向かう。今朝未明、4時30分に岩内を出発して千歳空港から神戸空港へ、神戸空港から車で向かう先は、作家・水上勉氏が故郷福井県大飯町に創設した“若洲一滴文庫”である。木田金次郎美術館・瀧澤館長をキャップに随行3名を加え、4名の一行である。

 京都府と福井県の県境近く、若狭地方の佐分利谷で炭焼きや田んぼ仕事、郵便配達をしながら独学で絵を描き続け、日展入選8度の実力ながら、中央画壇とは一線をかくし、故郷に留まり、水上勉氏の新聞連載小説の挿絵を描き、水上作品の書籍の装丁を数多く手掛けた画家で、在野のまま真摯に絵画と向き合い制作に打ち込む姿勢や、その生き方が木田金次郎画伯と重なる、渡辺淳氏を訪ねる旅である。
渡辺淳氏は優れた描写力と独自の視点からふるさとを描き続け、他方以前より「お絵かき教室」などを通じ、地域の子供達の絵画指導にも熱心に取り組み、美術の教育普及活動にも力を尽くして来ました。今回の一滴文庫訪問は、渡辺淳氏に木田美術館の「第17回ふるさとこども美術展」の審査委員長就任依頼と、「ふるさとこども美術展」と若狭の「お絵かき教室作品展」の児童画の交換展示の開催や、絵画や絵手紙のワークショップの実施などをお願いするのが目的でした。更には、2001年と2004年に木田美術館で開催し大変人気の高かった「渡辺淳展」を今一度行う事が出来ないかを探る旅でもありました。

 10時30分に神戸を出発した車は、途中丹波の西紀サービスエリアで昼食と休憩をし、14時に目的地若洲一滴文庫に到着した。
一滴文庫
受付で来意を告げると待ちかねたようすで渡辺淳氏が出迎えてくれた。5年ぶりの再会である。早速一滴文庫中央部に位置する六角堂に移動し、NPO一滴の里・杉左近孝夫理事長と時岡博嗣学芸員とお会いし挨拶を交わす。名刺に「水上文学のふるさと若洲一滴文庫」とある。かつて水上勉氏のもと、この施設の開設にかかわった渡辺淳氏は顧問である。瀧澤館長が今回訪問の趣旨を説明し了解を頂き、今後の具体的スケジュールは時岡学芸員と調整する事で打合せは順調に進んだ。杉左近理事長より今後も交流の輪を広げていきたいとの意向が語られた。話が一段落した時、にこやかな笑顔で旧知の竹紙漉きの西村雅子さんが駆け寄って来た。またまたなつかしい再会である。古来中国で行われていた竹の繊維で紙を漉く、いわゆる竹紙の再興を計り、水上勉氏がここに工房を構え、苦心の末成功したが、現在その技術を伝承し工房(若洲一滴文庫竹紙すき舎)を守り、素朴な味わいの雅味のある作品を生み出している竹紙作家である。

岩内木田金次郎美術館来館4名 005

岩内木田金次郎美術館来館4名 008

 渡辺淳画伯、西村雅子さんとしばし懐古談を交わした後、折から一滴文庫本館特別展示室で開催中の「渡辺淳展-ふるさとをかく-」を鑑賞し、施設の竹人形館、くるま椅子劇場、竹紙工房などを一巡し、15時50分、渡辺淳氏の見送りを受け、岩内での再会を約し、私達一行は今夜の宿泊地京都に向けて一滴文庫を後にした。《続く》


岩内木田金次郎美術館来館4名 003

(M・T)
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鑑賞スケッチノートから

○2011/10/4  虻田郡ニセコ町  I様
事情があって五年程どんざ忌に出席しておりませんでした。初冬のニセコ、岩内岳に登り来ました。残り雪がありました。除雪車が入ったのでしょう・・・。塗料の匂いが強烈です。屋上に上れないのが残念です。

○2011/10/8  さいたま市  I.Y様
久し振りに道銀コレクションを拝見してとても懐かしくなりました。木田さんの絵のやわらかなタッチの中に力強さがあって素晴らしさに感動しました。

○2011/10/8  札幌市  I.Y様
道銀時代の友人と訪れましたが、ゆっくり、感動し、拝見しました。またぜひ来たいと思います。

○2011/10/9  札幌市  N.K様
今回で3回目ですが、道銀コレクション展の岩内の大火の金庫にはビックリしました。私も岩内の御崎に住んでいて、6歳の時大火にあいました。その状況を知ることが出来良かったです。機会がありましたら、又来たいと思っています。バラの絵が好きで何回でも見たいです。

○2011/10/10  静岡市  M様
日曜美術館(NHK)、ミューズの微笑みなどで知りました。北海道は何度も来て居りますが、ここ岩内へは初めてです。雨になってしまいましたが、訪れることが出来、映像で見ていた景色、実物の絵を素のまま鑑賞できて感激しております。静岡に最近できました市立美術館にぜひお願いしてみたい気持ちです。

○2011/10/11  札幌市  K様
「生れ出づる悩み」を高校生の時、今から50年前に読んで、岩内と木田に興味をずっと持っていました。先日道新にここの美術館館長さんの記事を読み見に行こうという気持ちが強くなり、やって来ました。絵を見て、映像を見て説明も聞き、本当に来て良かったです。岩内の海は天気が悪くて残念!! リピーターとして今度夏に来たいです。

第4回美術館講座『郷土館で木田金次郎』が行われました。

11月12日午後1時天気
美術館が改修工事によって臨時休館中のため、この度の美術館講座は岩内町郷土館で行われることとなり、総勢14名でおじゃましました。
郷土館館長坂井弘治さんから、木田金次郎や木田家のお話、有島武郎氏講演会のお話や白水会発足のいきさつ、それに竹久夢二の美人画のお話…等々おもしろエピソードも織り交ぜながらの楽しいお話をたくさん聞くことが出来ました。
又、坂井館長さんの実体験を交えながらの岩内大火のお話も臨場感たっぷりで、そこからの復興には不撓不屈の岩内魂を感じることが出来ました。とても有意義な一日となりました。ありがとうございました。     (T・M)

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次回の美術館講座は…
美術館講座⑤ 『 私が選ぶこの一点 』
    2012年 1 月14日(土) 午後1時より 
参加者の想いで選ぶ「この一点」。好きな作品について語り合いましょう。
岩内地方文化センター(木田金次郎美術館隣り)にて開催されます。 
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滝川で木田作品が展示されます!

お知らせです。

11月20日(日)から滝川市美術自然史館で開催される
「ふるさとの画家 坪谷六郎展」に、
木田金次郎美術館収蔵の10点が出品されます。

坪谷六郎展2011チラシ

坪谷六郎さん(1920~2004)は、
滝川で活躍された道展会員の画家。
耳鼻科医として滝川で開業され、
滝川市医師会、滝川市文化連盟の会長も務められました。

かつて岩内協会病院の耳鼻科医として勤務していたときに
木田と出会い、
木田から大きな影響を受けた画家です。

滝川の芸術文化振興に尽力された
坪谷さんの画業を回顧するこの展覧会に、
師である木田金次郎の作品が出品されることになりました。

当館でも2002年4月に、
「三人の門下生展」として、
坪谷六郎・小野垣哲之助・青塚誠爾 の各氏の作品を展示しました。
この時は、お三方ともお元気でした。
(12月8日~の「きだび写真館」で当時の写真を展示します)


「大火直後の岩内港」「バラ(絶筆)」をはじめ、
代表作が岩内を離れて展示されるのは、
木田美術館開館以来はじめてのこと。

臨時休館中のこの時期だから実現した、
代表作の特別展示です。

この機会に滝川へどうぞ。展覧会は1月29日(日)までです。

(学芸員 岡部 卓)

※ 来年1月中旬に、滝川行きのバスツアーを予定しています。
  詳細決定次第、お知らせいたします。


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ふるさとの画家 坪谷六郎展
11月20日(日)~2012年1月29日(日)
滝川市美術自然史館 滝川市新町2-5-30
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休館中のポプラの会の取り組み

木田金次郎美術館は改修工事のため、10月17日(月)から来年4月上旬まで休館となるが、ボランティア「ポプラの会」もこの間、隣の岩内地方文化センターで開催される美術館の展覧会、イベント、事業などで活動する事になる。

毎月の全体会議はもちろん、12月3日(土)から18日(日)まで展示される「きだび写真館」や「おおいのこどもたち絵画展」をはじめ、2月の「ふるさとこども美術展」の監視が主な活動となる。その他「どんざ忌」や「ワークショップ」などのイベントにも積極的に参加したいと思う。

また、春になってリニューアルされた美術館で活動出来るのが楽しみでもある。

(T・T)

岩内町功労者表彰―木田作品寄贈の4氏を表彰

11月3日、文化の日。
午前10時から岩内地方文化センターにて、
「岩内町功労者表彰」が行われました。

岩内町功労者表彰式2011


この表彰式で、「公益功労賞」の受賞者として、
木田金次郎美術館に木田作品を寄贈された、
4人の方が表彰されました。

油彩「森の日没」(1950年)など3点を寄贈された、
御園生哲さん(札幌市在住)

油彩「りんご」(1960年)など6点を寄贈された、
大吉勇三さん(神奈川県川崎市在住)

油彩「くもれる夏の海」(1949年)を寄贈された、
柴田雅博さん(茨城県ひたちなか市在住)

油彩「海の風景」(1952年)を寄贈された、
浪花剛さん(札幌市在住)

以上4人の方々です。
おめでとうございます。

当日は、大吉さんと浪花さんが出席され、
上岡町長から賞状と記念品が手渡されました。

浪花剛さん表彰
賞状を受ける浪花剛さん。

今年は本当にたくさんの作品と巡り会いました。
現在、改修工事のため臨時休館中ですが、
新年度は、これらの作品を含め、木田作品をたっぷりとご覧いただけるよう、
だたいま企画を準備中です。

どうぞお楽しみに。

大吉勇三さん取材
表彰式の後、朝日新聞が大吉さんを取材。大吉さんは朝日新聞社で木田と知り合った方。
11月4日の同紙道内面に記事が掲載されました。


(学芸員 岡部 卓)

文化の日<開館記念日>ワークショップ なぞときバスツアー~しりべしミュージアムロード 3つの美術館を巡る~

11月3日(木・祝)、木田金次郎美術館が改修工事中により、臨時休館しているため、岩内町の荒井記念美術館(「原風景とヨーロッパ」展)・共和町の西村計雄記念美術館(「-渡仏から60年-西村計雄 私のパリ」展)・倶知安町の小川原脩記念美術館(自伝風な展覧会-定番作品展)を巡り、クイズを解きながら鑑賞するというおもしろい企画が実施されました。

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またとないくらい絶好の小春日和。館長、学芸員、普段は業務でなかなか参加できない女子職員のみなさんも加わり、総勢20名で真っ赤に色づいた実がたわわとなったナナカマドの街並みを走りました。

“QandAを御紹介しましょう”
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荒井さんでは、館にあるピカソの作品で最も古い作品のタイトルとその時の年齢は?
答えは、「貧しい食事」ピカソ22歳の作品(20世紀版画芸術における最高傑作の一つ)。若干22歳で無駄のないとぎすまされた線、完璧な構図、思想。年齢がはっきりすると、ピカソがいかに天才であったかが、ひしひしと伝わってきます。

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西村さんでは、ロゴマークについての出題。
月と太陽を組み合わせたイメージでできているそうです。

DSCN0315.jpg
小川原さんでは、作品の短い解説を読んで、タイトルを当てるというもの。答えは「納屋」「群れ」「馬」の3点で、詳しい解説がありました。
心象的な米澤邦子展が同時開催されていました。
オリジナルコーヒーや絵葉書もいただきました。たくさんの中から、ちょっと驚いて、私は「雷電岬」を選びました。

どの館も、学芸員や館長の丁寧な解説により、クイズは何なくクリア!(笑)お世話になりました。

今回のツアーでは、ごく身近なところに、こんなにも個性にあふれ情熱が注がれた作品を所蔵する多くの美術館が存在し、その息吹に抱かれているのだな、という思いにかられました。
深まる秋と、芸術を満喫した午後でした。

(S・M)

Volunteer Diary

今回の日誌からは休館直前のあわただしさがうかがわれる。

23,9,25
 「加藤芳信展」に感動した。一つ一つの点の形が美しい。近くで見ると、周りとそんなに違いがないように見えるのに、離れてみてみると濃淡がわかる。微妙な点の大きさの違いや点の数、並びによって表現されていてただただすごいなぁと感じるばかりだった。木田との接点があり、木田自身の存在の大きさを改めて感じた。(Y・I)

23,9,21
 愛知県から来館された60歳のご夫婦、木田美術館を一度来てみたかったと実現したことにとても喜んでいました、帰るときに中庭で有島武郎の出会いで教科書に載ったこと、大火にあって1500枚も貴重な絵を焼失したこと等、私なりの簡単な説明も聞いてくださったこと、とても感動して写真を撮ってくれました。またお会いすることを願いつつ別れました。ボランティアをしていてとても充実した日と、いい出会いにご夫婦の人柄も感じました。どうぞ、お元気でお気をつけての一声です。(M・H)

23,9,28
 立ちこめる臭気。間断ない工事音。高い足場。忙しげに行き来する作業員。やはり戦場だ。本格的な工事に入った中の展示をお客さんは意に介する風もなく一点一点見ている。珍しく秋晴れが続き絶好の美術館デー。(O・Y)

23,10,5
 全体会議。現美術館では最後になる。引越しとか今後の対応とか岡部さんの説明をもとにポプラとしての万全を期す。不明な点も多くその場その場でしのぐことも多いようだ。資料部、どんざ部の2部が細々ながら活動を続けることになる。この半年を何とかクリアしたい。(O・Y)

23,10,8
足場が遂に収蔵庫全体を囲む。図書5点受入。引越し前の受付はこれで終わりだろう。本棚の図書類は次々と分類別にダンボールに詰め込まれうず高く積み上げられている。(O・Y)

23,10,15
 遠くから見るとまるで要塞。明日で現在の展示は終了。作業も本番に入る。既に収蔵庫内は作品搬出でカラの状態だという。美術協会秋季展、今日の当番は岩田先生。知人にも会い話が弾み勧められて文化センターの絵手紙展にも行く。吉田まり子さんが見納めだと感慨深げな表情だった。(O・Y)

23,10,16
 今日で、この美術館ともしばらくのお別れ。寂しい。スタッフルームの本等が箱に詰められ、引越しの準備がされていた。来年の春まで私のボランティア活動もお休みとなる。また来年、皆さんと会えるのを楽しみに待っています。それまで皆さん、お元気で。大変お世話になりました。ありがとうございました。(Y・I)

 午後4時ごろ、文化センターでの絵画サークル展を見て木田美術館に来た。最後の監視なので気持ち高ぶっている。今日もお客様が多かったとのこと。2名のボランティアさんがいたのでホッとした。4時半、吉野さんが帰宅するので休館中の予定表を渡した。(T・T)

23,10,19
 切り抜きもあと一回だ。午前中に森田さんも来た。展示室内はダンボールの集積場だ。壁際の2段3段と山積みされている。本棚は中央部分にあった。職員も戦闘スタイル、半ば殺気立っている。眼前は平常とはかけ離れた風景だ。何か異常な一日。(O・Y)

23,10,21
 周囲白壁むき出しのスタッフルーム。時計とロッカーが所在無げに取り残されている。切抜きラストデー。19,20,21三日分の処理。次回作業予定は来秋金曜日。旧消防のあの勾配のきつい階段を上って仮事務所通いになるだろう。資料整理の灯は守り続けたい。それではしばらくのお別れーTill we meet again !! (O・Y)
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