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網走でも木田金次郎

9月3日のことです。

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ここは当館の収蔵庫の通路。
狭い通路いっぱいに並んでいるのは、旅立ちを待つ木田作品たち。

遙か道東・網走に向けて、当館所蔵作品36点が出発しました。
これだけの点数が当館から貸し出されるのは、初めてのことです。

到着先は、網走市立美術館。
9月13日(土)から、
「木田金次郎と生まれ出づる悩み展」が開催されています。

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当館所蔵作品のほかに、
北海道立近代美術館の木田作品46点(うち素描3点)、
さらに、
岩内町の荒井記念美術館所蔵の「生まれ出づる悩み展」から精選した15点が展示される、
大規模な展覧会です。

道東方面の方は、木田金次郎の作品世界を感じていただくチャンス!
この機会にぜひ網走へどうぞ。

ワタクシメも27日(土)に網走に伺います。
サンゴソウがきれいな季節でしょうか。

(学芸員 岡部 卓)

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網走市立美術館
「木田金次郎と生まれ出づる悩み展」

9月13日(土)~10月26日(日) 月曜休館(祝日開館)
網走市立美術館 (網走市南6条西1丁目)
    電話0152-44-5045

観覧料:高校生以上300円、小中学生150円

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伊藤正展を観て

先日、市立小樽美術館へ、中村善策記念ホール開設20周年記念特別展「写実の求道者 伊藤正 展」を観に行きました。

20080912_otaru


市立小樽美術館で常設展示されており、記念ホールも設立されている、中村善策と、生前交流のあった伊藤正の展覧会でした。

木田金次郎美術館でも「木田金次郎と1950年代」展の作家の一人として、伊藤正の「サイロ・牧舎」が展示されています。
同時期に観ることによって、北海道の美術の展開をもう少し深く考えてみたいな、と思ったからでした。

両者とも風景画が主な作品であり、モチーフとしては同じ北海道の景観を描いています。
北大農場を題材にした作品では、全く同じ場所を描いているのですが、一つの展覧会でこのように並べて展示されていると、作家により作風が随分異なっていることに、今更ながら驚きました。

中村善策の北海道の風景は、小樽・石狩平野を描いても、明るい絵具のトーンと、印象的な構図から、爽やかな北海道、というイメージが感じとれますが、どちらかというと、伊藤正の色調の方が、なじみがあるような気がしました。

今ではもう気配の薄れている、私が生まれる前の札幌の風景が、旧北海道新聞社を描いた「赤い建物」や、「北一条教会」に残されていました。
松島正幸など、他の画家が同じ建物を描いた感覚とは違う、当時の札幌の空気が伝わって来ました。
私はもちろんこの目で見たことはありませんが、きっと昔の札幌はこうだったんだろうな…こういう気配が残されていてよかったな、としみじみ思いました。

正確なデッサンに基づいた写実的で丁寧な画風は、カタログ表紙にもなっている、ノートルダムを描いた作品に現れています。
毎日早朝から足繁く通ってデッサンし、建築の微妙な傾きまで描き出していることに、思わず感嘆しました。

しかし、生涯、写実的な画風でありながら、その時代によって、心理状況が反映され変遷しているのも、興味深く、画家として凄いことだなと思います。

木田金次郎と同じように、北海道の風景を描いた、北海道の画家ですが、こうやって画業の全般を通じて観覧する機会がほとんどないのが残念です。このような、北海道を描いた画家の作品を、もっといつでも観られる環境・施設があればいいなあと、切に願いました。
見逃すのは実にもったいないし、見逃したら後で悔しい思いをしたことであろう、行って良かった、と久々に思えた、見応えのある展覧会でした。

美術館講座「他の館に出かけてみよう」に参加して

bus-tour.jpg

8月9日(土)今年第4回目の講座に参加した。
荒井記念美術館と有島記念館巡りの
バスツアーである。

午後1時15分出発、荒井記念美術館で
竹村学芸員から4館共同展「愛のカタチ」に
ついて説明を受けた。
そこで初めて見た「ピカソ」という「書」に感動、
ポスターに使われてピカソ本人も気に入って
いるとのことである。

その後ミュージアムロードを通って有島記念館へ。
真っ青な空に羊蹄山が頂上まではっきり見えた。
偶然一緒になった友人はニセコ出身で
道中いろいろ説明を受けた。

有島記念館は久し振りである。
真っ白な館が広い空間に建っている光景は
さながら1枚の絵のようである。
残念なのは鑑賞の時間が少なかったことで、
またの機会にと思って帰ってきた。

参加者は町内第一中学校の美術部の生徒7名と先生、
小学生が2名、一般が6名の計16名である。

毎回参加されている余市の方は楽しみにしているとのこと、
私も出来るだけ参加したいと思っている。

次回の講座は9月13日(土)午後1時~
T.T

鑑賞スケッチノートから

○2208/8/   旭川市  T.S様
久し振りに拝見させていただきましたが、やっぱり木田金次郎はすごいですね!!
絵の勉強を本格的に始めてなおさらそのすごさを実感しました。「絵の具が輝いている」という表現がぴったりです。私も旭川に帰ったら奮起して頑張ります。

○2008/8/5  札幌市  T.S様
エネルギーを感じました。死ぬまで全力を尽くす決意を得ました。

○2008/8/   札幌市  Y.H様
横浜に住んでいた頃から木田金次郎の絵を見たいと思っていました。思いがかないました。すばらしかった。

○2008/8/   名古屋市  S.K様
岩内生まれですが、はじめて見ました。

○2008/8/  川崎市  J.M様
るり子さん、お元気ですか? 時々岩内に来ながら初めてみせて頂きました。

○2008/8/10  東川町  K.K様
特別展も共同展も刺激的でした。他の作家の作品と並べることで、より個性が引き立つと思います。とても面白かったです。木田対小川原、ハッとさせられました。さらにギャラリートークも聞けてより理解が深まり、発見もありました。とても豊かな気持ちになりました。もっと多くの人に感じてもらえたら素晴らしいですね。

○2008/8/10  登別市  T.T様
感動しました。時間があればじっくり観たかったのですが残念。また来たいと思います。

○2008/8/   札幌市  M.T様
古里へ来て、美術館へ立ち寄るのが大変楽しみです。今日は主人も一緒にゆっくりと見て廻ることが出来ました。また来たいと思います。

○2008/8/   札幌市  Y.S様
菜の花畑の落日に感銘しました。夕日の迫力がスゴク、木田金次郎画伯の感性にすこし触れることができました。

○2008/8/16  H.H様
岩内近辺の風景、港、岩内の地におろした根の太さ、強さ。土地に着くことの意味を問われるようでした。

○2008/8/   札幌市  Y.K様
岩内が故郷の母からいつも木田先生の事は聞いていました。木田画伯のダイナミックな画法に触れることのうれしさにわくわくしました。また、是非来たいです。

○2008/8/   三笠市  S.H様
見たくなると我慢が出来なくなり、今日も13時5分に家を飛び出して来ました。これからも何度見に来る事だろう。最初に木田さんの絵と出会ったときのシビレル様な感動は忘れることがありません。

○2008/8/   石狩郡当別町 M.W様
父母は岩内で健在に暮らしています。この美術館があるのは知っていましたが、最近「山ハ空ヘモレアガル」の本を読んで作品を是非この目で見て見たいと思いました。バラの絵が好きになりました。

○2008/8/   札幌市  H.S様
小学校の恩師伊藤正先生の絵に出会い、当時を思い出し、とても懐かしく良い美術館に来れたことを感謝しています。

○2008/8/  奈良県宇陀市  M様  
読書会で紹介することになり、館より資料を送付していただきました。子ども達がよく分かったと喜んでいました。ありがとうございました。
                       T.T

ボランティアの研修~レオナール・フジタ展を鑑賞して

fujita.jpg
 「エコール・ド・パリ」を代表する日本人画家を、
藤田嗣治と記憶している人のほうが
多いのに・・・・・と思いつつ、日本初公開の
群像大作を見られることを楽しみに
レオナール・フジタ展に出かけました。

乳白色でかかれた裸婦や群像は独特の世界で
画壇で注目されるのも然り、私は複数の猫を
描いた作品に注目しました。

フジタの最晩年の生活ぶりは広く知られては
いなかったため、キリスト教に改宗し宗教画を
描いていたことや夢であった礼拝堂建設に
力を注いだ様子など珍しい資料をたくさん鑑賞し、
改めてフジタを知ったような気がしました。

大戦中に戦争画を描いたことで母国日本で
冷たい扱いを受け、フランス国籍を取得しても
どこか自分の帰る場所が欲しかったのでは、
とアトリエの再現展示を見て胸が痛みました。

 戦争に協力したつもりなどなかった、描いて
いたかった、そんな思いが伝わったのです。
後に「平和の聖母礼拝堂」の壁画や装飾を
美しく施した行為に、反戦の意志が静かに
表明されているように感じられました。
Foujita2.gif

                       S.K

美術館に新人登場か!?

寿都町出身、道都大学3年川口巧海君が学芸員資格取得を目指し実習に入って来た。期間は8月16日から27日まで。美術館業務にもなじんだ頃と思い26日に約10日間を振り返り話を聞いた。

Q.どんなことをしましたか。
A.一通りいろいろなことをしました。PC打ちなど事務的な仕事もしましたが、受付の時は緊張しました。第4展示室で「中世ヨーロッパ版画展」の作品展示作業も手伝ったしナイトオープンでは中庭で火起こしもやりました。収蔵庫に初めて入り絵の保管を目の当たりに見たのも楽しかった。

Q.何か感想はありませんか。
A.職員がいくつも仕事を持ちそれを同時並行の形で処理しているのはすごいと思いました。

最後に私からポプラの会のボランティア活動について概要説明をし、ショートインタビューは終わった。ヤング&フレッシュな川口君。念願の学芸員としての活躍を祈っている。
                      O.Y

Volunteer Diary

20.7.27
かぜ気味ですがボランティアが気になり来ています。ある町民が「あなたたちの力が支えになっている」と言ってくれウレシイーこの頃です。(M.K)

20.7.30
焼けるような暑さ。入館者数も好調。杉山さんも展示室監視に出ずっぱりだ。中庭の大型プランタに巨大ランタナ満開。七色のきらめきが見事だ。(O.Y)

20.8.2
町の大イベント怒涛まつり開祭式に参加した人たちがティーラウンジに流れて来た。折悪しく雨模様でまつりも意気上がらない。元美術振興協会会長の吉田さんが事務所で談笑、変わらぬお元気さ。私たちボランティアにも必ず声を掛けてくれる。(O.Y)

20.8.7
前夜のポプラの会全体会議報告書作成もあり来たが、6名の教員が研修のため来られていたので館内が何となく賑やかに感じた。PC打ちで展示室に入られず残念。(T.T)

20.8.11
お盆休みの臨時開館なのに午前中は来館者なく静寂の館内で改めて作品と向きあいました。「晩秋」の絵 一足早い季節の先取りで和の精神を思い返したり夏が過ぎ行くのを実感した日です。(S.K)

20.8.12
「晩秋」所蔵する時田氏の親戚の方が見学されました。「海の絵と聞いていたけど」と言われ、まだ他にもあったかも知れずお答えできなかったことを反省しています。(S.K)

20.8.20
昨日4役会議。来年の岩内大会検討案3討議。だんだんイメージがはっきりしてきた。正面入り口前芝生のタンポポ取り。(O.Y)

20.8.27
近美・日帰り研修の日。「レオナール・フジタ」展だ。フジタがFoujitaってどうしてなるのだろう。この研修には楽しみが三つある。作品、食事と車内のおしゃべりだ。絵葉書も3枚買った。(O.Y)
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