みがき合う若き感性 見応え十分 後志高校美術部展

平成28年度第51回高文連後志支部美術展研究大会が会期8/24~8/26、岩内文化センターを会場に開催された。
当番校が岩内高。ほぼ高校ごとにコの字型に仕切られ、そのため用いられたパネルに作品が展示された。
画題は多様だが、どの絵からも見た瞬間ハッとするような新鮮な驚きがある。
こんな絵を描くんだ、こんな色遣いするんだ、何だ これ?・・・。
巨匠とか有名な大家達の完成された絵を見慣れた目には、随所にのぞく美的ひらめき、ほとばしるダイナミズム等一点一点若者ならではの迫力があり挑戦がある。
それは未熟さを秘めているかもしれないけれど魅力であり大いなる可能性も期待できる。

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小樽潮陵14、小樽桜陽7、小樽工業10、岩内21、倶知安8、共和2、余市3、小樽双葉11、小樽商業3、小樽高等聾学校4で総出品数は83点。なお、絵以外に彫刻とかの立体造形の作品もあった。
会場受付で一枚の用紙が配られる。ベストの作品を一点選びコメントを書き投票する仕組みだ。
最終日に集計しその結果等を参考に検討を深めるのだろう。
オープンの場で批判し合いみがき合って実力がつく。
10月、北見市の全道大会に後志から23点出品の予定だ。

第2会場が隣接の木田金次郎美術館第4展示室。
ここは岩内高校美術部展で単独開催だが会期は8/24~8/28まで。
絵画21点と垂れ幕2本が展示されている。
ここでは岩高名物の文化祭垂れ幕はビッグなだけに圧倒的な存在感がある。
壁面からフロアにかけて2本並ぶ。

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大きいだけでなく美術作品としても優れもので年度のベスト1垂れ幕に選ばれた。
27年度テーマ「命の教室」のデザインは美術部の谷口君、28年度のテーマ「Atlantica」のデザインは美術部の加藤君がそれぞれ担当の傑作。(O.Y)
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佐藤喬の山の絵美術館「江幌小屋」を訪ねて

上富良野駅から起伏のある畑の中を4キロメートルほど行くと、車庫と古い民家と新しい住宅、プレハブの建物が並んでいる。
古い家が「江幌小屋」だ。
周りにはコンビニは勿論民家も全く見えない。
1998年開設で、1階が山の絵、2階には建物や人物の油絵や水彩画、人物の彫刻が展示されている。
約100点近くあるそうだ。
無料で鑑賞でき不定休とのこと。

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画家の佐藤喬さんからお話を伺った。
中学校の美術の教員をしていた喬さんは、札幌西高校を卒業した後札幌分校に行く。
西高の美術部は佐藤忠良さんとかがいてとても自由な校風だった。
札幌分校を卒業してから少し回り道をしてから郡部で教員をしていた。
後半は札幌で務めていて、50代から山の近くに住みたいということで家を探していたそうだ。
十勝岳周辺に住みたいということで、この農家の家と土地を退職前に買って手直ししていたそうだ。
札幌から毎週来ていたので、地元の人ともすぐ溶け込めたという。
最初はここに住む予定だったのが、教え子が来た時に作品をここに飾ったらと言われて、書き溜めてどこにも発表していなかった作品を展示するようになったそうだ。
退職した後、絵を描いたり彫刻をすることが仕事になっている。
「札幌だと彫刻をする仕事場がなかったが、ここだと思うように制作できるからいい。売り絵は描きたくない。俺は死んでいないぞ、生きているぞ、いつかみんなに認めてもらう絵を描くぞ、そう思って制作していて生きているという実感がある。ぬるま湯には浸かっていない。」
そう話す喬さんは飄々としていながら、地に足をつけて生きている印象が強くある。

喬さんは今年の春に閉校した江幌小学校で、ボランティアで17年近く絵を教えていたそうだ。
事の成り行きは、町内の飲み会で周りの人に 手伝ってくれないかと言われて、教えに行くようになった。
写生会や卒業制作を手伝っていた。
版画や陶芸や粘土で動物をつくったりしていた。
学校全体で17、8人、小さい学校だったからその子に合わせたきめ細かい指導ができた。
みんなすごくうまくなって、町の文化祭で目立つようになり、子ども達が自信を持ってやれるようになった。
そして音威子府工芸高校に数人入って活躍している。
今でもその子ども達とは連絡を取り合っているという。

「江幌小屋」には年間500人ほどのお客さんが来る。
その人たちが、喬さんに、よく奥さんがここに家を建てて住むことに賛成しましたねと言っていくと笑っていた。
奥さんは優しい笑顔で、田舎が好きだからと話しておられた。
ご夫婦2人のとびっきりの笑顔が「江幌小屋」の魅力なのかと、強く感じさせられた。

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「江幌小屋」へ行くには、上富良野町観光協会か江幌小屋のホームページをご覧ください。
事前に電話連絡をするとよいでしょう。(S.S)

「上富良野町観光協会」はこちら">

「江幌小屋」はこちら">
空知郡上富良野町西6線北27号 Tel,Fax0167-45-3354

夏のナイトオープンに行ってきました

去る8月26日(金)午後6時半より恒例となった、夏のナイトオープンがありました。
最初に岡部学芸員から、展示中の「木田金次郎の肖像」の解説があり、神恵内村漁業協同組合の歴代組合長は肖像画で記録されていること、個人の肖像画依頼者が神恵内住民であることに、改めて鰊漁による神恵内村の財力のすごさを実感したところでした。

次に第4展示室に移り、岩高美術部の作品展を鑑賞しました。
さすがに、歴史ある岩高美術部の作品はどれも、真摯に絵に向き合っている様子が、門外漢の私でも感じられました。
きわめて丁寧な筆致で、メッセージ性の強い作品が多く、大変見ごたえのある作品展でありました。
毎年木田美術館で作品展を開いてもらえないかと願うものです。

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今回のナイトオープンで特記すべきことは、新人町議会議員をはじめとして、若手の議員が参加されていたことです。
町議会も文化度が上がってきたと、美術館関係者の一員として大変うれしく感じた、今夏のナイトオープンでありました。
次回も多くの議会議員が参加されるように期待するものです。(M.N)

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ナイトラウンジでの楽しいひと時

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Grow Upさんによる新鮮野菜&パスタの販売

美術館講座 第3回 「後志・美術資源をめぐるバスツアー」

9月10日(土)、「美術館講座2016」第3回として、
「後志・美術資源をめぐるバスツアー」
を開催しました。
いつもの講座よりちょっと早めの11:00、美術館前を福祉バス「たら丸号」で出発。

多くの画家を輩出した後志を、景観や人物交流を軸に紐解いてみるツアーです。
最初に訪れたのは、

1)「小沢10号」(共和町):日本製麻株式会社小沢工場跡地

日本製麻株式会社小沢工場跡地

ここは、NHK連続テレビ小説「とと姉ちゃん」のモデル、
「暮しの手帖社」創業者の大橋鎭子さんの父(とと)が工場長をしていた場所。
大橋鎭子さんは1921(大正10)年、1歳の時に暮らしていました。

現地では、西村計雄記念美術館の福井館長と待ち合わせ。
製麻工場についてガイドしていただきました。
かつては採取した亜麻を柔らかくするためのため池があったとか。
そして、この場所を描いたとされる、西村計雄《小澤村》1935年のこともお話し下さいました。

2)「末次商会」(共和町)

トンネル餅・末次商会

続いては、小沢名物「トンネル餅」を作っている「末次商会」。
ご主人の末次敏正さんから、お話をうかがいました。

「トンネル餅」の創始者は、西村計雄の父・西村久太郎。
久太郎氏から末次さんへ「トンネル餅」が引き継がれたときの模様や、
小沢がロケ地となった映画「男はつらいよ 望郷編」(1970年)のことなども。

3)「倶知安風土館」(倶知安町)

倶知安風土館

一行は倶知安へ。風土館では自然科学が専門の、岡崎毅館長より、
後志の地形の成り立ちからみた、この地方独特の景観についてお話いただきました。
羊蹄山の微妙な「ふくらみ」が、とんでもない事実を物語っていた話など、興味の尽きない館内でした。

4)「小川原脩記念美術館」(倶知安町)

小川原脩記念美術館「麓彩会展」

こちらでもお話をうかがう機会が。
開催中の「第58回 麓彩会展」のアーティスト・トークを聴講。
小川原脩とともに同会の創立に携わった野本醇さん(伊達市在住)、
地元倶知安在住の徳丸滋さん、本庄隆志さんから、
ご自身の作品についてのお話をうかがいました。

5)「有島記念館」(ニセコ町)

有島記念館

最後は有島記念館。伊藤大介学芸員から、この場所にあった「有島農場」についてうかがいました。
バスの車窓からも、有島ゆかりのポイントが見えることもうかがったので、景色の見え方がちょっと変わったかも。

岩内から共和、倶知安を経て、ニセコへ。
「美術資源」を実感しつつ、17:00に岩内に戻ってきました。

トンネル餅
旅のおみやげはコチラ。小沢名物「トンネル餅」。

ご参加いただいた皆さん、
各所でご案内いただいた皆さん、
ありがとうございました。

次回講座は11月12日(土)13:00~15:00
第4回 「平成の『生れ出づる悩み』2016」です。
どうぞご参加ください!

(学芸員 岡部 卓)

しりべしミュージアムロード共同展はすごくいいね!

チラシ面1

ここ数年、夏に開催される しりべしミュージアムロード共同展に
はまってしまっている。
何故かというと、1つの美術館のなかで、木田金次郎、西村計雄、小川原脩、ピカソと4人の作品を鑑賞できるからだ。
いわば1個のお菓子で4つの味を楽しめるということなのだ。
距離的にもそう遠くないので、折り畳み自転車に乗ったり、それをケースに入れてバスに持ち込んで乗り込んだりとサイクリングを兼ねて、荒井記念美術館、木田金次郎美術館、西村計雄記念美術館、小川原脩記念美術館をまわってみた。

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今回のテーマは「いろとかたちのシンフォニー」で、それぞれの学芸員がそれに沿ったテーマを決めて、他館から絵を数点借りてくる形になっている。
たとえば、木田美術館は「色彩のコーラス」で、小川原脩の見たこともないような彩度の高い絵が展示されていた。
西村美術館では「線のリズム」で、小川原美術館は「奏でるカタチ」、荒井記念館では「人生賛歌」だった。
それぞれにテーマを表す絵を配置し展示する。そこにそれぞれの学芸員の考え込んでいる姿が浮かんでくるようでとてもおもしろい。話を聞けば、この企画のために数か月の時間をかけ、各美術館の収蔵目録を見ながら絵を選んでゆくという。
他の美術館ではできない仕事なのだ。

久しぶりに行った小川原美術館では「小川原脩のラダック」というチベット旅行での取材を基にした絵だけを抜粋して展示していて、精神的に深みのある作品をゆっくりと観られて至福の時を過ごすことができた。
小川原脩がなぜ、フランスでなくイタリアでもないチベットに旅をして滞在し、そこの住民とその生活を見つめていたのか。
そして絵として表現したのか。
声高に話すタイプではない、どちらかというと寡黙な小川原脩の思考回路を、戦争画を描いていた時期があるという学芸員の解説によって少し理解できるように思った。

荒井記念館では学芸員の解説文がとても印象に残ったので抜粋させてもらう。
他館の作品のコメントを書くという活動がとても貴重だと思った。(S.S)
~小川原脩の「巡礼」は、仏教における最高敬礼【五体投地】の初動作が描かれています。
アジア諸国を周遊した小川原は、この礼拝にアジアの人々の精神性を見出しました。
二等辺三角形の安定した構図。地に足をしっかりとつけて、合わせた掌を天に向かってすっと伸ばす姿は、宗教とは何なのか、生きることとは何なのかを、私たちに問いかけてくるようです。~


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